面接の評価には2種類ある、という話です。
お客様の採用選考の相談でよく目にするのが、面接評価表に評価要素は並んでいるものの、それぞれを面接でどう評価するのかまでは決まっていない、という状態です。主体性も論理性も粘り強さも、同じ面接の中で同じように評価できるものとして扱われています。
ところが、面接の評価には直接評価と間接評価の2種類があり、どちらで評価するかによって評価の確かさが変わります。ここでは2つの違いと見分け方、それを踏まえた選考の組み方について書いていきます。
直接評価と間接評価
直接評価とは、面接の場で発露する発言・行動・立ち居振る舞いなどを直接評価する面接手法です。面接官は、応募者が目の前で見せた言動そのものを材料にします。たとえば、話の筋道がわかりやすいか、質問に的確に答えているか、といった点は面接の場で確かめることができます。
間接評価とは、エピソードを聞いて、過去の行動事実から間接的に評価をする面接手法です。周囲と協働しているか、最後までやり切っているか、計画的に進めているか、といった能力は面接の場では発揮されません。そこで、応募者が過去に取った行動を話してもらい、その事実から評価します。
新卒採用の面接で「学生時代に力を入れたこと」を聞くのは、この間接評価の材料を集めるためです。エピソードそのものの面白さを評価しているわけではありません。
見分け方は「その能力が、面接の場で発揮されるか」
ある評価要素をどちらで評価するかは、その能力は、面接官の目の前で発揮されるかという1つの問いで見分けられます。発揮されるなら直接評価、発揮されないなら間接評価です。たとえば主体性は、30分ほどの面接の場で発揮されると思いますか?
この問いを当てはめてみると、面接で直接評価できる能力はそれほど多くないことがわかります。面接は言葉のやりとりなので、どのような面接であっても論理性は必ず発揮されます。直接評価できるのは、主に論理性と、論理性が背景にあるコミュニケーションです。
表情や態度から「オーラがある」と感じることもあると思いますが、オーラは主観が中心になるので、評価要素として扱うのは難しいです。
一方で、主体性や協働、完遂といった行動特性は、面接の場では発揮されません。評価要素の多くを占めるこれらの能力は、面接では間接評価で評価することになります。
直接評価のほうが、精度高く評価できる
2つを比べると、直接評価のほうが精度高く評価できる、というのが私の持論です。
100メートル走の速さを知りたいとします。その場で走ってもらえば、目の前で確かめることができます。これが直接評価で、これまでの記録を本人に申告してもらうのが間接評価です。記録は手がかりになりますが、それが本当なのか、どのような条件で出したものなのかは、詳しく聞かなければわかりません。陸上の選手を選ぶときに、申告だけで決めることはまずないと思います。
面接でも同じで、間接評価の材料は応募者が話すエピソードです。面接官は、その話が本当か、どのような状況での経験だったのか、話の構成のうまさに引っ張られていないかを判断しながら評価することになります。この判断の一つひとつに、誤る余地があります。直接評価であれば材料は目の前で起きた事実なので、こうした判断を挟まずに評価できます。
もちろん、間接評価が役に立たないわけではなく、過去の行動事実はその人を知るための大切な手がかりです。ただ、話を材料にする以上、直接評価に比べて誤る余地は多くなります。
| 直接評価 | 間接評価 | |
|---|---|---|
| 評価の材料 | 面接の場での発言・行動・立ち居振る舞い | 応募者が話す過去のエピソード(行動事実) |
| 評価できる能力の例 | 論理性、論理性が背景にあるコミュニケーション | 主体性、協働、完遂などの行動特性 |
| 面接官が判断すること | 目の前の言動が、評価基準のどの段階にあたるか | 話が本当か、どのような状況での経験か、話のうまさに引っ張られていないか |
| 誤る余地 | 少ない(材料が目の前の事実) | 多くなる(話を材料にし、判断が挟まる) |
直接評価できる場を、選考に組み込む
評価の精度を高めたいのであれば、直接評価できる場を選考に組み込むことをおすすめします。
最も効果が大きいのは、行動観察です。グループワークのように、応募者が実際に課題に取り組む場をつくれば、面接では話を聞くしかなかった行動特性を目の前で評価できます。主体的に動いているか、周りを巻き込んでいるか、最後まで工夫を重ねているかを、その場で確かめられます。
面接の場を直接評価に寄せることもできます。たとえば、事前に準備したテーマを発表してもらうプレゼン選考や、その場で課題を考えてもらうケース面接です。過去のエピソードを題材にするよりも、その場で発揮される行動が増え、評価の材料が多くなります。
まずは評価要素を1つずつ見て、直接評価できる場が選考の中にあるかを確かめてみてください。
それでも、面接の間接評価の精度は上げておく
直接評価できる場を増やしても、面接で過去の行動事実を聞く場面はなくなりません。なぜなら、行動特性の多くは面接では間接評価で評価することになるからです。ですので、間接評価の精度もできる限り上げておく必要があります。
入口として、2つのことから始めるとよいと思います。1つ目は、評価要素ごとに、間接評価と直接評価のどちらで評価するのかを決めておくことです。決めていないと、面接官は目の前の話のうまさ、つまり直接評価に引っ張られやすくなります。
2つ目は、エピソードの背景まで聞くことです。どのような状況で、何が難しかったのかまで聞いて初めて、その行動の意味がわかります。
直接評価と間接評価は、どちらか一方を選ぶものではなく、評価要素ごとに使い分けるものです。そのうえで、直接評価できる場を増やし、面接の間接評価の精度も上げていく。この2つを進めることで、入社後のパフォーマンスの予見の精度は高まっていきます。
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