内定者と行うべき7つのコミュニケーション

内定者とのコミュニケーションにおける「頻度」と「質」

内定者とのコミュニケーションを考えた時、「頻度」と「質」の2つ観点から考えることができます。

 

コミュニケーション施策の1つめは、内定者と会う機会を増やすことをあげています。

物理的な距離は心の距離感につながるといってもよく、たくさん会うことそれ自体が辞退の抑止になるのです。施策2以降は、コミュニケーションの質を高める施策です。

 

1. 接触頻度を最大にする

 

内定者と頻繁に会うということを、積極的に行っている企業は多くありません。

内定期間に一度か二度、といった企業がほとんどです。

会うということ自体が手間ですし、多く呼び出すことは学業を妨げるという遠慮もあるのだと思います。

 

ですが私はそれらの理由と、内定を辞退されることの重大さが、釣り合っていないように感じます。

そしてそこにはまだかなり工夫の余地があるように思っています。

私は週に一度会話するくらいでも多いとは全く感じません。

 

一般的に、内定者に対して社内施設の見学などはよく行われていますが、内定者のためだけの企画では、接触頻度を高めることは難しいでしょう。

そこで、全社の社員向けに企画されているイベントや企画、飲み会なども含め、内定者が参加しても差し支えないものをピックアップし、物理的な接触頻度を可能な限り増やしましょう。

呼び出しではなく、よかったら来ませんか?といったフランクな機会をどんどん増やすことが大切です。

 

人事だけでなく、現場の部門からコミュニケーションをとってもらうことも検討できるかと思います。

もちろんアルバイト契約やインターンシップが可能であれば、それはとても効果的な施策です。

 

 

実際の接触が難しければ、ネットやメールを最大限活用しましょう。

内定者SNSなどが用意されていても運用は内定者にお任せというケースが多いようですが、ツールは意図を持って使って初めて効果が得られるもの。

与えただけで目的が果たされるということはありません。

 

施策2以降は、コミュニケーションの質を高めるための施策を紹介します。

まずは、期待を示すためにトップに会わせることです。

 

 

2. 期待を示す(トップに会わせる)

 

予算がない企業でも実現可能で、時間もかからず、かつ効果が高いのがトップに会わせることです。

 

「君が○○君だね、人事から聞いているよ。是非うちに入社してほしいと思っているのでよろしく頼むよ。」と名前を口にし、握手をしてもらえば、内定者にとって間違いなく大きなインパクトになります。

自分のまわりの就活生で、内定後に社長から期待の言葉とともに握手をされた人はまずいないからです。

 

大切なことは、内定者に対する漠然とした期待ではなく、個人に対しての期待をきちんと言葉にして、本人が認識できるようにすることです。

自分というより、全員に対する単なる儀式だと感じれば感じるほど、期待した効果は得られなくなります。

多人数で一度に会うよりも、1回2,3分でよいので個別か、限りなく少ない人数でセットすることをお薦めします。

 

 

3. 情報を増やす(プロファイリング)

 

どういう背景で今に至っているのか、どういう希望を持っているのかについて改めて聞くなど、さらに一人ひとりの内定者について理解を深めることは、関係構築を強固にすることに役立ちます。

 

また、硬軟かかわらずいろいろな場で、なぜこの会社を選んだのかについて多くの関係者に繰り返し話すことが、実は内心で自分の意思がしっかり固まっていくということにつながっています。

 

それに対して社員が、自分の場合もこうだったよと、内定者の話に根拠を加えることも、この会社に入社するのは間違っていないという思いを強めることに効果があります。

 

 

4. フィードバックをする

 

内定者の何かアウトプットを見る機会があったならば、必ずフィードバックをしてください。

 

内定者は誰もが「今のままでは仕事は上手にできない。だから成長することが必要だ。」という思いを持っています。

それゆえ社会人からのフィードバックに対して、素直に耳を傾けます。何かとフィードバックを求めてくるのもそういった気持ちの表れです。

 

自分にとって納得感の高いフィードバックをくれる場所は、自分が成長できる場所、つまり自分にとって適切な進路であるという理解につながります。

 

5. アドバイスをする

 

アドバイスは、フィードバックで話したことを実生活の中でどのように達成していくかについてアドバイスする、すなわち大学生活に意識づけをするというのが王道です。

 

社員が自分の体験に照らして話すアドバイスは、内定者の記憶にも強く残ることが多く、入社後に覚えていたりすることも少なくありません。

そしてもちろん内定者に一様に行うのではなく、個別のアドバイスであればあるほど、大きなインパクトを持ちます。

 

6. 相談に乗る(メンターになる)

 

他の施策と絡めて、個別アドバイスができるくらいの関係が構築できていると、逆に内定者からも心を開いた、いろいろな相談をされることがあります。

極端なことをいえば、他社と進路を迷っているという告白すらあるかもしれません。それらに真摯に答えることによって、さらに関係性が強くなります。

 

相談に乗るスタンスで大事なことは、個人の意見と、企業人の意見を適切に使い分けることです。

個人の意見は個人の意見だとしっかりと前置きすることはコンプライアンス上も大切です。

学生はこちらが思っている以上に、仕事上の発言と個人としての発言の区別がついていないため、発言が独り歩きしないように配慮することが必要です。

 

そうしてリスクを抑えるとともに、この人は仕事の域を超えて自分のことを考えてくれているという理解を促すことで、内定者との関係をさらに強めることができます。

 

7. 将来の会社像を共有する

 

内定者には、積極的に会社の将来像を話してください。

 

その際、採用広報で使ってきたような抽象的な言葉ではなく、話している社員がどのように思っているか、個人の視点で語るほうが内定者にとってわかりやすく、心に響くものになるでしょう。

 

明るく希望があり、活気に満ちた将来像を共有することは、「社会人になったら大変だぞ」という心構えを伝えるよりも何倍も大切で、高い効果があります。

学生の甘えを指摘するのは、未来を共有し、前をしっかりと向かせてあげてからで遅くありません。