内定直後にするべき3つのアクション

内定直後にするべき3つのアクション

内定を出したらすぐやるべき3つのアクションを説明していきたいと思います。

 

1. 腹落ち面談 

 

まず、内定を出した後になるべく早く行いたい事として腹落ち面談があります。

この面談を行う一番の目的は、内定者に「自分はこの会社でいいんだ」という腹落ちをさせることです。

 

腹落ち面談は、内定を出したらとにかく間をおかずに実施する事が重要です。

 

恋愛でもそうですが、告白のタイミングは、最も気持ちが盛り上がっている時です。

気持ちが盛り上がっているその間に、一気に面談を実施し「自分はこの会社に入ってがんばっていくぞ」という気持ちまで育ませてしまうことがポイントです。

 

就職活動は、恋愛でいえば相手(応募者)の申し出(エントリー)に対して、改めてこちら(企業)から正式に告白(内定)しなおすようなものです。

 

つまり必ず相手の恋愛が成就する形になるわけで、どの応募者にとってもとても嬉しいことなのです。

だからこそ内定を出した時が距離を一気に詰められる、つまり腹落ちさせる好機なのです。

 

逆に恋愛が成就したというのに、2、3週間とメールで連絡が来るだけだったらどうでしょうか。

その間に内定をもらった瞬間の高揚した気持ちは落ち着いてしまいます。

 

「自分から応募した企業ではあるけれど、これで終わりにしていいのだろうか?ここでうまくいったんだから、他でもうまくいくかもしれない」というように、自らの就職活動について、冷静に振り返る時間がそこに生まれてしまうのです。

 

では、面談では何を話せばよいのでしょうか?

 

腹落ち面談では、以下の3つのことを話題にします。

 

  1. 自分(内定者)の興味・欲求について:
    自社の仕事が、自分の興味や欲求を満たせることを理解していて、それを自分の言葉で語ることができる
  2. 自社の仕事の意味と価値について:
    自社で携わる仕事の意味や価値を理解していて、それを自分の言葉で語ることができる
  3. 自己の成長・活躍について:
    入社後の自己の成長・活躍イメージを持っていて、それを自分の言葉で語ることができる

 

こうして面接の中で採用担当者や面接官が質問を通じて整理したことを、改めて内定者がしっかりと自分の言葉でいえるような状態に持っていくことが「自社に入社することを腹落ちしている状態」なのです。

 

腹落ち面談での会話のイメージは、以下のようなものです。

(面接官) ○○さんに内定の連絡をさせてもらいましたが、いかがですか?

(内定者)     はい。御社にお世話になろうと思っています。

(面接官)     そうですか。ありがとうございます。うちに決めるにあたって、どんなことを考えたか教えてもらっていいかな?

(内定者)     はい。やはりお会いした人がどなたも素晴らしく、一緒に働きたいなと思いました。

(面接官)     そうですか。ありがとうございます。うちの社員がもっている気質や企業風土なんかが、○○さんにとても合っているように私も感じています。ちなみに希望する職種についてはその後どのようなことを考えていますか?

(内定者)     はい。面接のときに教えていただいて、それから少し○○職に興味を持っています。

(面接官)      それはよかったです。どんな点で興味が出てきたのでしょう。

(内定者)      ○○職は、直接的な知識やスキルだけではなく、社会が抱える課題についてアプローチできますよね。なので、幅広い知識に触れられるのが楽しみです。

(面接官)      そのとおりです。社内では、自分の仕事についてだけではなく、広く教養を学んでいる人が活躍していますね。どんな分野でも構わないので、○○さんのように知的好奇心が高い人には向いていると思います。

<(1)自分の興味を満たせることが理解できているか確認→理解できていない、もしくは不安に思っているようだったら強化する>

 

(面接官)      それを仕事でどんな風に実現していけるか、イメージは持てていますか?

(内定者)      具体的には……、まだ弱いです。

(面接官)      そうですね、魅力的な事例がたくさんあるんですけど、例えば、……な事例があります(事例の説明)。お客様の希望を叶えるだけではなく、社会のインフラを構築していて、……なやりがいもとても感じられたプロジェクトです。今度、よければそのプロジェクトでリーダーをした社員と会話してみませんか?

<(2)自社の仕事の意味や価値について理解できているか確認→理解できていない、もしくは不安に思っているようだったら強化する>

 

(内定者)      ぜひお願いします。私もお客様の希望を叶えつつ、社会そのものに貢献できたりすることについては、とても共感しています。

(面接官)     そうした仕事を通じて、○○さんはどのように成長していけるイメージがありますか?

(内定者)      はい。以前、○○職の仕事では、……な状況がよくあるとお聞きしたので、私が学生時代に取り組んできた……の体験が、そのような時に必ず活かすことができると思うようになりました。入社後は、○○職で、日本だけでなく世界のインフラを構築していけるようになりたいと思っています。

(面接官)      そうですか。先ほどお話しした社員も、3年目くらいの時に……を経験して、実はその後……なきっかけから、……を体験したことで、大きなプロジェクトを任されるようになったんですよ。

<(3)自己の活躍や成長イメージについて理解できているか確認→理解できていない、もしくは不安に思っているようだったら強化する>

 

(内定者)      そうなんですか。機会があればそうしたキャリアの話を直接お聞きしてみたいです。

(面接官)      ぜひ聞いてみてください。再来週に内定者懇親会を開くので、そこに呼びましょう。その社員に○○さんのことを伝えておきますね。

(内定者)      ありがとうございます。

 

いかがでしょうか。

 

もしも同じ内定者に、他社の人事が先に上記の話題を自分の言葉でいえるように働きかけていたらどうでしょう。

「彼はうちが第一希望っていっていたから大丈夫」などと楽観せず、一人ひとりに丁寧なアプローチを心がける必要があると思います。

 

 

2. ネットワーキング

 

ネットワーキングとは人間関係を構築することですが、これは内定者同士の横の人間関係と、自社の先輩社員との縦の人間関係の、2つを両方構築することを指しています。

 

人間関係を構築することにより、いわゆる親和的動機形成を促して辞退防止に役立てようというのがネットワーキングです。

 

さらにいうと、ネットワーキングの目的は、内定者にはっきりとわかる居場所を提供することです。

 

内定をもらった瞬間は喜びの感情や高揚感を持ちますが、内定者はその後一転して不安な感情に煽られます。

 

それは、体験したことのない状況で、これから何が起こるのだろうという未知への不安です。

内定者は不安を払しょくしようとして、いつまでも就職活動生として振る舞い、情報を得ようとします。

 

それらの行動自体に問題があるわけではありませんが、それらの行動が自社と他社の比較に繋がったり、さらなる就職活動の呼び水になったりすることもあります。

 

そこで内定者に「もう行動を止めても大丈夫」と感じてもらう必要があるのですが、それに最も効果があるのが、ネットワーキングにより新しい環境を与え、そこに居場所を与えることなのです。

 

ネットワーキングをどのように実施するかについては、毎年の懇親会など知見を持っている企業も多いことでしょう。

その中で今回、ひとつだけお伝えするとしたら「自分からつながりなさい」というスタンスではなく、つながってあげる、もしくはつなげてあげる支援を惜しみなくすべきだということです。

 

相手を子ども扱いしろといっているのではありません。

実際のところ、管理職向けのリーダー研修でも、部下や組織内でのコミュニケーションにおいて、自分(リーダー)から率先行動をとることを推奨しています。

それと同様に、大事なことは、場が最適な状態になるように最善を尽くすことなのです。

 

そういったことを考慮したならば、懇親会の開催や、SNSを提供することはネットワーキングのきっかけであり、本質ではないことがわかります。

その機会を活かして、内定者がまとまることができるような工夫が必要です。

 

例えば、内定者が共同で何か作業をすることは、その工夫になります。

 

ハーバード・ビジネススクール教授のエイミー・C・エドモンドソンは、チーム化が進むプロセスについて、以下の5つを紹介しています。


(1)メンバーがチームワークの必要性を認識する

(2)個人と個人がコミュニケーションを図る

(3)自分がすべきこと、相手に任せるべきことを理解して調整する

(4)仲間を尊重し協力して課題を遂行する

(5)振り返り、相互にフィードバックする

 

題材は何でもいいと思うので例示しませんが、何かを共同ですることを促し、そこで以上のようなプロセスを踏むように設計することで、ネットワーキングの高まりが期待できるでしょう。

 

社員も参加させることで横のみならず縦のネットワーキングが実現すれば、さらに強固な効果が期待できると思います。

 

 

3. 伴走の計画

 

最後に紹介するのは「伴走する」という考え方です。

 

これは1回のアクションを指しているのではなく、内定から入社までの数か月間について、しっかりと伴走する計画と体制を確認しましょう、ということです。

 

伴走の計画とは、1の面談や2のネットワーキングの施策、メールやSNSといった内定者との接触の機会をすべて把握し、会う頻度やこちらの工数を計算しながら、入社まで内定者と継続的にコミュニケーションをとることをどのように実現するか考えることです。

 

それこそ内定を出した最初の半月程度は、ほぼ毎日、何かしらの接触(できれば双方向)を持つようでも過分ではないと思います。

 

ただしその後、卒業時までその接触密度で通すことはないでしょうから、メールなどを利用して間接的にコミュニケーションをとっていくことになると思います。

その際にも、つかず離れず、どのように伴走が実現するのか、しっかりと計画をしておくべきだと思います。

 

伴走のコツとしては、事前に適切なネットワーキングを実行し、自分をよく理解してくれている人が入社までそばにいてくれていると感じさせることです。

 

人事の担当者が仕事として連絡してくるというより、少し親しい人が折に触れて話しかけてくれる、という感覚で実現するとよいでしょう。

メンターなどが施策として用意できれば、さらに効果が期待できるでしょう。