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RDIブログ

グローバル人材とは何か。コンピテンシーとコンテクストを分けて考える

RDIの鈴木です。

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日本は現在グローバル人材真っ盛りです。どこの企業でもグローバル人材が欲しいと言っています。企業がグローバルに打って出る差し迫った事情があるので、グローバルに活躍できる人材が必要というわけです。

グローバル人材とは何か

グローバル人材とは、経済産業省の産学人材育成パートナーシップのグローバル人材育成員会(そんな委員会が存在するんですね)で以下のように定義されています。

グローバル化が進展している世界の中で、

  • 主体的に物事を考え、
  • 多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、
  • 文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、
  • 相手の立場に立って互いを理解し、
  • 更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、
  • 新しい価値を生み出すことができる人材

なんだかこれができればすごそうな人です。笑

ですが、分かりにくいと思いませんか?
これがなぜ分かりにくいかと言うと、コンピテンシーとコンテクストを混同しているからなのです。

能力を語るためには状況について考慮しなくてはならない

コンピテンシーは定義を持ちだすとややこしいのでここでは簡単に「成果を出すための能力」と言っておきます。
コンテクストは、コンピテンシーを発揮する際の状況のことです。

能力(コンピテンシー)は発揮する状況(コンテクスト)と分断して考えてはいけません。
例えば、自分より年下の人ばかりいる状況でリーダーシップを発揮するのと、自分より年上の人しかいない状況でリーダーシップを発揮するのとでは難易度に差がありますよね。

難易度に差があるということは、上記のリーダーシップを発揮している両者を同レベルで語ってはいけないということになります。前者は「相手が年下であればリーダーになったことがある人」であり、後者は「相手が年上であってもリーダーになったことがある人」です。同じコンピテンシーでもコンテクストによって発揮できたり発揮できなかったりするわけです。

ステレオタイプな表現が許されるのであれば、日本人は主張が強い人の前では萎縮してしまったり黙ってしまったりしてしまいます。しかし、仮に「主張が強い人」の前でも「萎縮したり黙ったりせずに」行動できる人がいれば、その人は難易度の高い状況(コンテクスト)においても成果を出すための能力(コンピテンシー)を発揮している人材ということができるでしょう。

これがまさにグローバル人材なのだと思います。

RDIが経産省の定義するグローバル人材を整理すると

コンピテンシーとコンテクストを踏まえ、先の定義を見直してみます。

グローバル化が進展している世界の中で、

  • 主体的に物事を考え、
  • 多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、
  • 文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、
  • 相手の立場に立って互いを理解し、
  • 更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、
  • 新しい価値を生み出すことができる人材

赤字の箇所はコンピテンシーに類する表現、青字の箇所はコンテクストに類する表現です。
これを分けて考えれば分かりやすくなるのではないでしょうか。


グローバル化が進展している世界の中で、

以下のような状況(コンテクスト)において

  • 多様なバックグラウンドを持つ同僚、取引先、顧客が周囲にいる
  • 文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異が存在する

以下のような能力(コンピテンシー)を発揮できる

  • 主体的に物事を考えることができる
  • 自分の考えを分かりやすく伝えることができる
  • 相手の立場に立って互いを理解することができる
  • 価値観や特性の差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出すことができる
  • 新しい価値を生み出すことができる

コンピテンシーとコンテクストの話は非常に重要で、採用選考にも大きな影響がある考え方だと思っています。その辺りの考え方もいずれ紹介できれば。

最近読んでいる本

聖女の救済』『ガリレオの苦悩』 ともに東野圭吾 文藝春秋
年に数回、無性に小説が読みたくなるときがありまして、今がそのときのようです。聖女の救済はトリックというか、聖女の行動に納得できないところがあるのですが誰か読み終わった人僕の独り言に付き合ってくれませんかね・・?

最近の運動

フットサル頻度高めの中、先日スポーツワン主催の皇居マラソン20キロの部に出場したら3位入賞で賞状とメダルをもらいました!小規模大会でしたが、マラソンで入賞は初めてなのでこれはうれしい!家に飾ってあります。笑

[検証] Jリーグにおけるシーズン途中の監督交代の効果はあるのか

RDIの鈴木です。

今回はサッカーのお話です。

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今シーズンのJリーグは開幕直後の監督交代が話題になっています。
まず、ガンバ大阪のセホーン監督が第3節終了後に解任、そして川崎フロンターレの相馬監督は第5節終了後に解任されました。J2でも横浜FCの岸野監督が早々に解任されています。さらにマスコミは第6節終了時点で未勝利の横浜Fマリノスの樋口監督も危ないと報じています(ただし資金難で解任はしないという噂も)。

さてここで疑問が浮かび上がります。

果たしてシーズン途中における監督交代は効果があるのでしょうか。

もちろん05シーズンの大分のシャムスカ監督(シャムスカ就任まで22試合で勝ち点19だったが、就任後の残り12試合で24ポイントを稼ぎ出しJ1残留を果たした)のように劇的な効果をもたらす監督もいます。しかしそれはあくまで例外。好例だけを取り上げてはいけません。

まずは同様の事例を取り上げた記事がないか探し、こんな記事を発見しました

サッカーにおいて監督解任は効果があるのか | pal-9999の日記

中身は非常に分かりやすいので読んでもらえるとよいのですが、結論は「監督解任は短期では効果があるが、長期的に見れば何の意味もない」ということらしいです。

結論の根拠として文献を紹介しています。

僕も購入して読んでみました。監督交代の効果について論じた箇所を僕も引用します。(pal-9999さんの引用と同じ箇所です)

「監督の交代はうまくいくものではない」

オランダの経済学者ルート・クーリングはこう言っている。彼は経営トップの交代が企業の成功に与える影響を解明するために、サッカーのオランダリーグを調査した。

すると、1993年から1999年までに28回の監督交代が行われたが、結果として監督交代がいい影響を与えたことを裏づけるものはまったくなかった。クーニングはこう結論づけた。
「ファンとメディアの圧力のほうが、監督交代の効果の見込みより重要な役割を果たしている」

2003年、この結果に対してミュンスター大学の二人の研究者ベルント・シュトラウスとアレクサンドラ・ティッペンハウアーが賛意を表した。彼らは1963年から1998年のデータをもとに、監督交代の効果について検証した。

調査は、監督交代前の12試合と後の12試合を比較するという方法で行われた。その結果、短期的には成績が上向きになることが多かったが、それだけにその後の急降下が厳しいことがわかった。これに対し順調に推移して落ち込むことがあまりなかったのが、「監督を交代させない」チームだった。

「リーグ戦における監督交代」を研究したマティアス・キルタウも同様の結論に達した。新監督は、10戦目までは3ポイント多く獲得するものの、それから効果は消えてしまう。さらに、その短期的な成功も新監督の手腕によるものではなく、監督交代がチームを刺激する「劇薬」として瞬間的に効果を発揮したものだった。

ただ、これをよく読むとシーズン途中の監督交代なのかどうかは言及がありません。監督を代えたチームと監督を代えないチームの比較の方法も不明確です。

また、海外の事例であることから、日本の事例はないのか探してみましたが、見つかりませんでした。

なければ自分でデータを作ってみよう

というわけで、自分でデータを漁ってリーグ途中の監督交代の効果について検証してみることにしました。

検証は、解任前の5試合~10試合程度の成績と、新監督就任後の5試合~15試合程度の成績を比較するやり方とします。

まずはシーズン途中の監督交代がJリーグでどれだけあったのかを調べなければなりません。幸いなことにサポティスタさんに素晴らしい記事が存在しました。

Jリーグ・シーズン最初の監督交代一覧 | サポティスタ

これを元データとして、iPadアプリのJリーグ歴代選手名鑑で過去の試合結果を確認(90年代の結果は公式サイトにも掲載されていませんでした)して自分でデータセットを作成しました。

結果として、対象データが28件抽出できました(抜け漏れあると思います・・)。

  • 93〜2011までの19年間のJ1/J2でシーズン途中で監督交代があったのは33件
  • うち、2ステージ制を敷いていた時期における1stシーズンと2ndシーズンの間の監督交代は除く(94年の清水、94年の鹿島)
  • 開幕5試合未満で解任されたケースは除く(04年セレッソ、06年横浜FC、08年浦和)

また、条件をそろえるために過去採用していた延長戦に突入した試合に関しては全て勝ち点1で計算しています。

シーズン途中の監督交代の効果はあるのか [単純平均の比較]

解任前の5試合と10試合、新監督就任後の5試合、10試合、15試合経過後の平均獲得勝ち点を計算したのが以下の表です。

jleague_points.jpg

まず言えるのは、解任前の勝ち点があまりに少なすぎるということです。だから解任されたってことなんでしょうけど・・。
J1が18チーム制(年間34試合)になってからは、J1残留ラインは勝ち点40です。つまり、1試合で平均1.18ポイントくらいは獲得しないといかんわけです。しかし解任前5試合では平均0.893ポイント。これは解任したくなるのも心情的には理解できます・・。

新監督就任後のデータを見ると、解任前より獲得勝ち点は増えています。さらに、解任前は上述の1.18ポイントラインを下回っていたのに、新監督就任後は1.18ポイントを上回っています。このラインは非常に重要です。
また、先程引用した文献のデータとは異なり、交代後10試合よりも、交代後15試合の方が勝ち点が伸びています。短期的ということでもなさそうです。

まだ19年、28件のデータしかないJリーグですが、単純集計では勝ち点が伸び、監督交代の効果があると考えることができます。

シーズン途中の監督交代の効果はあるのか [単回帰分析]

次に、散布図を用いて解任前後の獲得勝ち点を比べてみます。

横軸は解任前の1試合あたりの平均獲得勝ち点、縦軸は新監督就任後の1試合あたりの平均獲得勝ち点です。試合数はそれぞれの軸のタイトルが示しています。例えばpast10avであれば、過去10試合の平均という意味です。

past10after10.jpg

こうして見ると、単純集計による平均の比較とはまた違った見方ができますね。より右下にプロットされているチームほど監督交代がうまくいっていないチーム、より左上にプロットされているチームほど監督交代がうまくいっているチームです。

特筆すべきは左上の05年の大分トリニータです。先述しましたが、劇的な改善ですね。解任前の10試合で平均0.3ポイントだったのが新監督就任後の10試合で平均2.0ポイントです。そして右下の06年の千葉はかわいそうですね。日本代表にオシムさんを引きぬかれたときです。オシムさんのときは10試合で平均1.9ポイントだったのが、交代後は1.2ポイントまで落ち込んでいます。

もう1つ例を出してみます。解任前10試合と就任後15試合のグラフです。

past10after15.jpg

だいたい似たような傾向ですね。例外はありますが、左下から右上にかけてプロットされた点が多くなっています。

そこで統計的に有意な結果が得られないかとデータを分析したところ、解任前10試合と新監督就任後15試合を変数としたケースでは単回帰レベルで有意な結果(1%水準)が得られました。決定係数が低めですがデータが28件しかないので仕方ないです。これからのJリーグの歴史に期待です。

解任前後における勝ち点の計算式は以下の通りです。

新監督就任後15試合で得られる平均勝ち点 = 0.5197 × 解任前10試合で得た平均勝ち点 + 0.8392

統計ソフトRを用いてコールした式

past10after15regression.jpg

つまり、解任前10試合における平均勝ち点が1.5ポイントだった場合は、新監督就任後の15試合で平均1.62ポイント獲得できるという意味です。

0.5197 * 1.5 + 0.8392 = 1.61925

交代後に獲得勝ち点が増えていますね。
ただし、10試合で15ポイントは34試合で51ポイント換算であり、2011シーズンのJ1でいえば6位に相当します。優勝争いを義務付けられたチームでなければこの成績で解任はないでしょう。

解任前10試合における平均勝ち点が1.0ポイントだった場合は、監督就任後の15試合で1.36ポイント獲得できます。

0.5197 * 1.0 + 0.8392 = 1.3589

1試合あたり1.0ポイントのチームが交代後に1.36ポイントになるのは大きな意味があります。残留ラインは1.18ポイントですから、監督交代すれば残留に近づく可能性が高くなるということですね。

先程の散布図に単回帰の直線を加えた図を添付しておきます。

past10after15reg_line.jpg

データから見れば、Jリーグにおけるシーズン途中の監督交代は効果がある

ということになります。同じシーズンの中では勝ち点の上積みが期待できるでしょう。
ただし、そもそもコロコロ監督を代えて良いのか、それで地域に愛される骨太のチームが作れるかと言えばそれは難しいとも言えます。

どうしても今シーズンまずは残留を目指し、新シーズンについては残留してから考える(などということはそもそもあってはならないのですが)、そういうケースには効果があるということができるのではないでしょうか。

Jリーグではまだサンプル数が少ないので、今後も継続して追いかけたいと思います。

KJ法をうまく実施するために意識すべき2つのこと

RDIの鈴木です。

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先日新入社員研修の講師を務め、受講者にKJ法を実施してもらうことがありました。KJ法で気をつけることに関しては「KJ法は分類するのではなく、つなげることが大事」でも書いたので僕も久しぶりにチェックしてから研修に臨みました(自分のブログながらなかなかよく書けていると思ってしまいました笑)。

新入社員のみなさんにKJ法を実施してもらったところ、また以前と同じ想いを抱きました。自分のことを棚にあげて言わせていただくと、新入社員のみなさんはKJ法があまりうまくできない。KJ法はあくまで研修を進めるための一つのワークであり、KJ法を学ぶための研修ではないので、僕の指示の仕方がよくなかったかもしれないです。もっと気を付けなくてはいけませんね。

そういうわけで、以前上記のブログを書いたきっかけと同じ思いをまた抱いたのです。また、以前よりもさらに気づいたこともありました。そこでKJ法を実施するときに意識してほしいことを自分への備忘録の意味も込めてブログに残します。

カテゴライズではなく、似た意味の言葉をつなげる

KJ法でもっとも難しいのは統合化というプロセスです。散らばったラベルをつなげて共通の意味を持つラベルをつける作業ですね。例えば「新入社員として大切なこと」というお題で以下のワードがあがったとします。

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これを単純に「カテゴライズ」しようとすると、以下のようになってしまう可能性があります。特に指示をしないとさらに可能性大です。

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全部「仕事への取り組み姿勢」のことだからひとつにカテゴライズできるじゃないか、と。そういう理解をしがち、なのです。確かにカテゴリーとしては正しいかもしれませんが、「新入社員として大切なことは仕事への取り組み姿勢だ」と結論づけても抽象的であり、「どのような姿勢が大切なのか」の視点がありませんよね。

そうではなくて、「似た意味の言葉をつなげる」ことを意識します。似た意味の言葉をつなげることとカテゴライズすることは全く意味が異なります。この違いに気づくことが第一歩かもしれません。似た意味の言葉をつなげれば例えば以下のようになります。

blogkj03.jpg


これで、「新入社員として大切なことは前向きに取り組むことだ」「新入社員として大切なことは社会人としての最低限の規律を守ることだ」と具体性が高まります。

次元や親子関係を意識する

アイデアを出してもらいポストイットにワードを書いてもらう単位化の段階では表現のレベル感が揃っていない可能性があります。みなさん思い思いのことを書きますからある意味当然ですよね。例えば以下のワードを見てください。

  • 自分らしく振る舞う
  • 努力する
  • 成長する


次に、以下のワードです。

  • 積極的に職場内で交流し、明るい雰囲気づくりに貢献する
  • 分からないことはまず自分なりに分かるようになるまで調べる
  • まずは先輩に同行し、少しでも先輩から吸収する


最初の3つと後の3つでは、表現のレベル感はまったく異なっています。最初の3つは抽象度が高いというか、考えがまとまらないながらも「とにかく自分らしく振る舞うことが必要だ!」という状態で書かれたワードだと予想できます。しかし突き詰めてみると「自分らしく振る舞う」はもしかしたら後の3つに登場する「積極的に職場内で交流し、明るい雰囲気づくりに貢献する」と同義かもしれません。

言葉の次元、階層、メタレベル。これらを揃えないと、同じ土俵で議論はできないですし、ましてや似た意味の言葉をつなげることはできません。表現のみでは汲み取りきれない想いを引き出してあげて、それからつなげていくことをしないと、いつまでたっても似ている意味のものを見つけることができません。

結局は仕事も同じではないか・・という思いに至る

物事のレベル感を揃えて構造化して理解して、似ている要素をメタファーでもアナロジーでもいいから見つけてつなげる・・って結局仕事で求められている能力と同じですよね。KJ法、勉強になりますね〜。


最近読んでいる本

『性格のパワー』 村上宣寛 日経BP社
採用選考で確認する評価要素についてもう一度勉強し直そうと思い、性格に詳しい村上先生の著書を読み進めています。なかなか刺激的な内容ですね・・。統計結果から明らかになった一般的に誤って認識していることをバサバサ斬っています。統計は今後もさらに重要度を増しそうに思います。

最近の運動

ランに精を出すシーズンはいったん終わりにして、最近はまたフットサル頻度をあげてます!

採用の質を向上させる。その第一歩は定量的な調査分析から

RDIの鈴木です。

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採用という領域が社会的に公正でないと見られたりバイアスがかかった情報しか流布しないと捉えられているのは、採用があまりに非科学的な根拠に頼り切っているためです。非科学から脱せられない理由は大きく分けて2つあります。

  • 誰もが「採用された」経験を持っており、経験から何となく主観を語ればそれが正しそうに聞こえるため。実際にはそれは正しいかもしれないし正しくないかもしれないのだが、誰もそれを指摘しない。
  • 採用人数や就職人気ランキングなど、すぐに定量的に判断できる数値のみを目標設定に用い、本質的に重要であるはずの「何が優秀人材の採用に貢献したのか」という関係性には誰も踏み込まない。

上記2点はどちらも現状出来る限りの科学の考え方を導入することで脱却できることです。特に後者に関しては定量的な調査を実施することで今すぐにでも質の向上が望めます。

そこで今回は採用活動の調査分析についてRDIが設計する際の手順を紹介したいと思います。

何を明らかにしたいのか、をまず明らかにする

調査でまず大切なことは、「何を明らかにしたいのか(アウトカム)」を明らかにすることです。なぜ調査を実施するのか、と言い換えることもできます。この前提なしに調査設計をしても意味がありません。

アウトカムについては考える際には、調査で明らかにできることとできないことを知っておく必要があります。お客様に調査の話をすると「どこ(地域、大学、所属クラブなど)に優秀人材がいるのか知りたい」「どのような人材が優秀な人材なのか知りたい」という意見をいただきます。領域でいえば前者はマーケティングで後者はアセスメントです。調査にできることは「複数の変数の関係性を明らかにすること」ですので、これを踏まえてアウトカムを検討します。

RDIが初年度の調査でおすすめしているのは、例えば以下のような認知をアウトカムとする方法(ソフトアウトカム)です。

  • A社への志望順位
  • A社へのコミットメント
  • A社への期待

また、辞退者もスコープに含むのであれば、以下のような具体的結果をアウトカムとする方法(ハードアウトカム)もあります。

  • A社への内定受諾有無

何がアウトカムに対して影響を及ぼしたのか仮説を立てる

アウトカムを設定したら、次に実施するのは「どの施策、どの会話、どの設計がアウトカムに影響を及ぼしたのか仮説を立てる」ことです。
例えば自社開催のセミナーを実施したのであれば、それが志望順位の向上に影響を及ぼした可能性があります。
また、パンフレットや採用ウェブサイトなども同様です。

これらの施策や設計を全て洗い出し、想定される関係性を図示化して矢印で結びます。こうして出来上がった図が自社の調査設計図となります。広報や選考という大括りで整理すると見やすくなります。

質問紙で調査した上で統計手法を用いて仮説を明らかにする

調査設計図を作成したら、対象者に実際にアンケートに答えてもらいます。質問紙(WEBでも構いません)による調査で、多くの設問は5件法(5.とてもそう思う 4.そう思う 3.どちらともいえない 2.そう思わない 1.全くそう思わない という5つの選択肢を用意して回答させる方法)で回答してもらうことになります。

回収した回答結果は調査分析しやすいようにエクセルなどで整形しておきます。
この整形のやり方や、統計的な調査は専門的なソフトもありますが、エクセルでも実施することができます。『Excelで簡単 やさしい人事統計学』にやり方が載っていますので興味があれば読んでみてください。統計についての基本的な理解も本書の内容で十分足りると思います。

統計分析の結果、以下2点のことが分かります(※)。

  • 分析をかけた変数間に本当に相関関係があったのかどうかが分かります。つまり自社の施策(イベントやパンフレットなど)がアウトカム(志望順位やコミットメントなど)に影響があったのかどうかが定量的に明らかになるということです。
  • その施策がアウトカムにどの程度影響を及ぼしたのかが分かります。この影響力の大きさによって次年度の改善の優先順位をつけていくことができます。

(※)ある程度採用数がある企業における分析例です。

定量調査の継続こそがバイアスの排除につながる

一連の調査結果から、どの施策には力を入れ、どの施策は実施方法を変える必要があるのかなどの具体的な次年度の課題が浮き彫りとなります。提案の根拠が明確に存在するので、担当者の方が上司に企画を通しやすくなるという副次的な効果もあります。

このように調査を続けていけば、一つ一つの施策にも狙いが明確に存在するようになり、単純な母集団形成を超えた「戦略性」がそこに生まれます。そうして初めて、「うちの会社はこのように考えてセミナーを実施している」と公明正大に打ち出すことができ、それが社会的な評判につながっていきます。就職活動の歪みを正すのは、こういった一つ一つの取り組みに科学を取り入れていくことに他なりません。

就職活動の長期化を構造的に解決するための2つのアイデア

RDIの鈴木です。

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今回は冗談8割で読んでもらえれば。先日同業の方と情報交換していたときに話題になったので。

就職活動の負担が重くて学生の本分である学業に影響が出てけしからん、といったニュアンスのことはよく聞かれます。経団連がその対策として企業に呼びかけて就職活動開始時期をコントロールしていますが、時期はあまり関係ありません。

それよりもっと簡単に学生さんの負担を減らす(はず?の)ドラスティックな案を2つ紹介したいと思います。

エントリー費徴収制度

大学入試を考えたときに、1人で100大学受けるという話は聞きません。もちろん受験日が重なっているので実際にはそんなことは不可能ですが、片っ端から受験するという考えに至らないのは、一つには入試にお金がかかることがあると思っています。

そこでこれを企業のエントリーにも適用します。エントリーシートや履歴書の提出にエントリー費を課すのです。こうすることで、学生さんは自分が本当に行きたい会社(第一志望群と呼ばれる会社)とすべり止めくらいしか受けなくなるので、適性や価値観をもっと見極める必要が出て自己理解が深まります。同時に、就職活動が長引くことも解消できるのではないでしょうか。

徴収したエントリー費のうちのいくらかは寄付するといった制度にすればよいかもしれません。


模試制度

これも大学入試からのメタファーですが、大学入試においては各学生さんが目指す大学を模試から判定し、身の丈にあった大学を自らスクリーニングします。誰もが東大を受けないのはこのような仕組みがあることも関係あると思っています。

そこでこれも就職活動に適用します。SPIなどの試験では「基本処理力」が測定できます。この項目を判定に利用している企業は事前に基本処理力レベル(大学入試でいうところの偏差値)を設定し、学生さんは模試を受けることで「合格判定○%」といった結果を得ることができます。大学入試では、判定に20%などの値が出ればさすがに目標校を再考すると思います。それと同じ効果を期待できます。

これにより闇雲に企業を受ける、つまりエントリーシートを何十枚も出す手間が省け、就職活動の長期化に歯止めをかけることができるのではないでしょうか。



・・・と、冗談はさておき。
就職活動の長期化を悪とするのであれば、それを防ぐのは活動開始時期や一括採用の否定などではありません。

企業は求める人材を設定しそれを公開すること。出来る限り客観性の高い評価を実施すること。これらを通じ、プロセスとしての公正さを高めること。 企業の採用活動というと広報にばかり着目されますが、もう少し採用選考活動の質を高めることにも注力すべきと思います。

学生さんは(大学とともに)志望企業の選定に真摯に向き合うこと。実践を通じて学生生活の中で成長を続けること。自分の中で本当に大切にしたい価値観とは何か、考えてみることも大切です。

こうして、基本処理力や行動特性、価値観などすべての面において透明性を高め、客観的な測定を約束し、マッチングの精度を愚直に高めていくこと。長期化を防ぐのは結局こうした取り組みに1つでも多くの企業が、そして1人でも多くの学生が気づき、実践していくことに他ならないと思います。

最近読んでいる本

ゲームストーミング』 オライリージャパン
会議、セミナー、ワークショップなどでアイデアの創出をはじめとする協働をする際に効果的なアナログゲームを多数紹介しています。ゲームストーミングの概念もさることながら、具体的なゲームを80以上、ルールも含めて詳細に解説しているところに本書の価値があると思います。

最近の運動

京都マラソンが終わってからの2週間はわりとゆったりめ。自転車通勤1回、フットサル1回、ラン1回。そろそろ身体もなまってきたのでまた運動頻度高めたいです。でも花粉が・・。

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